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【医師に報告したい】腹痛のアセスメント【訪問看護・リハビリ】

リハビリnote
ゆう
ゆう

Aさんこんにちは。
今日の調子はどうですか?

Aさん
Aさん

ずっとお腹が痛いんだ…
寝てても痛いままで辛いんだ。

ゆう
ゆう

ん!?今日はなんかいつもと違う感じがするぞ…
どうしたんだろ!?
先生に報告しなきゃ…
こんな時、何を評価していったらいいんだー…

こんな疑問に答えます。

ゆう
ゆう

✔この記事の信頼性
この記事は看護師監修

【記事の執筆】
ゆう:臨床14年目の作業療法士
10年ほど病院勤務し、現在は訪問看護で勤務する。
訪問看護では病院勤務以上にリハビリ以外のことも自分でアセスメントを行い看護師や医師に必要な情報を報告する必要がある。特に急変時の対応などは様々な医師からアドバイスをもらうことが多い。

病院では何か異常があればすぐにドクターがかけつけて対応してくれることもありますが、訪問看護やリハビリでは自分で評価して、それを言葉だけで伝えなくてはいけません。

出来るだけ必要な情報を集め、簡単に報告する必要があります。

最初に必要な腹痛のアセスメントの手順を述べておきます。

腹痛のアセスメントの手順

①問診
②視診
③聴診
④触診・打診

ポイントは
いきなり触らない
ってことですね。

アセスメントも完璧を目指したいですが、それは難しいので、
・確認しても分からないことは分からなかった
・確認出来なかった
なども正直に言いましょう。背伸びしても良いことはないですし、恥ずかしさもありません。怒られて足りなかったと思うことは次に生かせばOK。

また、人によってはDr.への報告の際に評価に加え、「〇〇みたいな病気」と伝えることもありますが、個人的には好ましくない報告だと思っています。

診断するのはドクターの役割なので、あくまでアセスメントした状態を報告することが大切だと思っています。

ドクターとの関係性でその辺は変わってくるかもしれませんが、それは時と場合に合わせて。

それではアセスメントを一つずつ見ていきましょう。

①問診(腹痛の場合)

問診は非常に大切です。問診していくときには、
一つずつ分かりやすい言葉で質問していくことが
大切です。

症状は必ず7つの特徴を確認していく必要があります。

症状を表す7つの特徴

1)痛みの部位
2)発生と時間
3)性質
4)痛みの強さ
5)状況
6)寛解・増悪因子
7)関連症状

上記7つを確認し、報告できるようにしておくことが大切です。

一つずつ具体的に見ていきましょう。

1)痛みの部位

患者さんの痛みの訴えをそのままメモしておきましょう。
空腹時や満腹時、便秘の状態などで、若干臓器の位置も変わってくると思うので、
大まかに把握しておきます。

例えば…
①急性虫垂炎:へそ周囲から右下腹部痛へ痛みが移動
②急性腸閉塞:小腸ではへそ周囲や上腹部、大腸では下腹部または腹部全体
など疾患や患者さんの感覚によっても異なってくることもあるので、特定しすぎないでそのまま伝えることが大切だと思います。

2)発生と時間

・いつから痛みが生じたか
・急激な痛みか
・間欠的か
・痛みの持続時間はどのくらいか

などを確認していきます。

突然、症状が発症する疾患には以下のようなものがあります。

疾患例

・腹部大動脈破裂
・消化管穿孔
・腸管虚血

3)痛みの性質

痛みをどのように感じているかを聴きます。

・チクチクする
・鋭い痛み
・鈍い痛み
・焼けるような痛み
など

同じ痛みでも患者さんの主観によって異なることもありますが、最初は誘導せずそのままの表現を記録しておきます。

4)痛みの強さ

10段階のスケールを用いると記録しやすいです。

しかし、高齢あるいは何らかの疾患や薬の作用で痛みが鈍く感じている場合があります。普段の服薬状況も把握しておくことは大切ですね。

5)状況

その症状に影響を与えた他の要因を探します。

・症状が現れる前の行動
・環境因子
・情緒的反応
など

6)寛解・増悪因子

どのようにすれば症状が軽くなるか、あるいは辛くなるかを聴いていきます。

・横向きに寝る、座るなど体位はどのようにしていたら楽か。
・食前後?水分摂取ではどうだったか?
・咳での痛みの増悪があるか
・歩行での痛みの増悪があるか?
など何か思い当たる物を聴いていきます。

例えば、消化性潰瘍では食事により痛みが緩和する。

7)関連症状

腹痛以外の症状を聴いていきます。
吐き気や嘔吐、下痢などの症状はみられているか。

②視診

問診もしながら視診も行っていきます。

1)表情

表情や顔色、発汗などの自律神経症状の有無を確認しておきます。

結膜の黄疸や貧血の有無も確認出来ておくとよい。

2)体位と運動

どのような体位を取っているか。
仰向け、横向き、前屈位、どの姿勢が楽そうにしているかを観察しておきます。

また、同じ体位でじっとしているか、あるいは落ち着かず何度も体位を変えているのかを確認しておきます。

3)腹部と全身状態の観察

症状の訴えている部位の確認は患者さんに安心感を与えますので、先に確認しておくと良いと思います。

✔腹部全体の状態+鼠径部周囲の観察
・平たんか、膨隆しているか
・腹壁静脈の怒張、くも状血管腫
など


✔全身状態の観察
・浮腫の有無
・皮膚の状態
・外傷はないか
など

4)排泄物の確認

✔吐物
吐血の有無を確認。

✔排尿・排便(オムツの中を確認)
尿の色:濃縮尿?黄疸?
便の色:下血の有無を確認。

③聴診

聴診は打診や触診の前に行います。
先に打診や触診を行うと、腸雑音の頻度が変化してしまう可能性があります。

聴診のポイントは以下の通りです。

日常的に腸蠕動音を聞いておき、正常範囲のイメージを作ること。

違和感や異常をみつけるには、「いつもと違う!」この感覚が大切です。

✔腸蠕動音
5~15秒間ごとに音が聞こえる
例…「コポコポ」、「キュルキュル」、「プクプク」など

✔腸蠕動音の頻度
・常に聞こえる⇒亢進
・5回/分以上⇒正常
・聴取されない⇒腸蠕動音消失(5分以上聞こえない場合)
※実際場面では5分以上も聴診に時間をかけれないことが多いと思われます。
僕は1分程度は音を聞くようにしています。

④触診・打診

出来るだけ、自分の手を温めてから触れましょう。
些細なことですが、反応が変わります。

✔触診経験が少ない人は以下の2点を気をつけて行うと良いです。
・手を腹部に置いて2~3秒待つ
・呼吸(呼気)に合わせてゆっくりと圧を加えていく
くらいは行うと、良いです。

圧のかけ方が下手だと、自分の触り方が悪くて痛みを助長させている可能性があります。

触診の手順

腹部全体を確認します。

触診は痛みの部位より離れたところから始めます。

圧痛の部位や範囲、強さ、腹部腫瘤を確認していきます。

圧痛を認めたら、腹膜刺激症状を確認する。

腹膜炎の兆候である腹壁の緊張や硬直、筋性防御や筋強直はないか確認する。

腹膜炎は緊急手術の可能性があるため、注意深く観察していくことが大切です。

打診

腹部各領域をまんべんなく系統的に打診していきます。
腫瘍や腹水貯留の有無、腸管内ガスの分布などをみていきます。

✔打診で診断できること
①鼓腸(消化管に貯留したガス)の診断
②腹水の診断
③叩打痛
・肋骨部叩打痛…胆道感染
・腎叩打痛…尿路感染

さいごに:医師に急いで連絡したほうがいい場合

直感的に
いつもと様子が違う
この感覚は非常に大切です。

前述したフィジカルアセスメントを行い、
①バイタルサインに変化がある(血圧低下、発熱、頻脈、頻呼吸など)
②普段にない強い腹痛がある
③腹膜刺激症状がある
④大量の吐血・下血がある

このような場合には急いで医師に連絡を行うことが大切です。

参考文献
ベイツ診察法
フィジカルアセスメント完全ガイド
どちらも良い本ですm(__)m

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