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【薬の飲み忘れ防止】在宅での服薬管理の工夫

家族のお悩みから探す

こんにちは。
作業療法士のゆうです。

訪問看護では利用者のご自宅へ訪問した際に「服薬管理」が正しく行われているかを確認する必要があります。
本人が自己管理出来れば問題ないのですが、本人による自己管理が出来ない場合には家族の協力が必要になります。

でも、実際は以下のような問題があり、服薬管理を正しく行えない場合があります。

よくある本人の問題点

✔視力低下(目が見えない)
✔運動機能(手先が不自由になったり、片麻痺など)
✔認知機能(日付が分からなくなったり、注意力や記憶力が低下したり、病気に対する理解が低いなど)
✔性格(面倒に感じたり、独自のマイルールを持っている)
✔生活リズムの乱れ

よくある環境による問題

✔一人暮らし
✔老々介護(高齢者同士の生活)
✔家族が不在の時間が長い、あるいは遠方に住んでいて協力が得られない

服薬管理を指導する場合には上記の問題が一つだけではなく、複数の問題が絡み合うことが多いので、介助者は頭を悩ませてしまいます。

服薬管理を正しく行えるように、薬剤師による「在宅患者訪問薬剤管理指導料」というサービスがありますが、月に4回までの訪問が限度のため、正しく服薬出来ているかの確認は難しいです。

そのため、利用者の状態・環境による服薬管理の実際は「訪問看護」あるいは「訪問介護」などのサービス利用中に行っているケースが多いと思われます。

看護師
看護師

そこで、この記事では、
訪問看護が行っている服薬管理を正しく行うための工夫を紹介していきます。

服薬管理を正しく行うための工夫

看護師は利用者の状態や環境を考えながら、服薬管理を正しく行えるように様々な方法を提案したり指導を行っています。

服薬管理を正しく行うための工夫には以下のような物があります。

・薬の一包化
・「ピルケース」あるいは「お薬カレンダー」を使用する
・1日分の薬を毎日セットする
・家族にタイミングを見計らって電話をしてもらい、服薬を促してもらう
・「訪問看護」や「訪問介護」、「デイサービス」などを利用している時にする
・医師に服薬の状況を報告・相談し薬を調整を検討してもらう

それぞれのメリットとデメリットをお伝えしていきますね。

✔薬の一包化

メリット

・薬の飲み忘れを減らすことが出来る
・容量や用法を間違えにくい
・介助者の作業量を減らすことが出来る
・ヒートシールのまま、誤飲してしまうことを予防できる※1
※1ヒートシール: 薬をアルミなど薄い金属やフィルムで1錠ずつ包装したもの

デメリット

・床に落としても気づきにくい
・薬の名前(種類)が分かりにくい
・床や布団に落とした場合見えにくい
・床に落とした場合は拾うことが難しい
・自分で薬の量を調整することが難しい
・料金の加算がある(一包化加算)

✔「お薬カレンダー」あるいは「ピルケース」を使用する

●お薬カレンダー式

参考

●ピルケース式

参考

メリット

・曜日や時間ごとにセット出来るため、飲み間違いや飲み忘れを減らすことが出来る
・飲み終わった袋を戻すことで、薬を服用出来たかを1週間以内に確認することが出来る
・残薬を確認しやすい
・本人管理・家族管理しやすい
・目に入りやすい場所に薬を設置することで、本人の意識付けがしやすくなる

デメリット

・見当識が保たれている必要がある(曜日あるいは日付を覚えている)
・曜日がズレた場合、どこから開始すれば良いか分からなくなることがある
・指が入らず、取れない可能性がある
・週に1回の訪問で休みがあった場合、だれがセットするのか?2週間分セットしても管理できるか?
・仕分け作業に手間がかかる

✔ 1日分の薬を毎日セットする

✔参考

メリット

・毎日セット出来るため、飲み忘れや飲み違い(日付間違い)を減らすことが出来る
・毎日飲み忘れがないか確認することが出来る

デメリット

・薬は誰が毎日セットするのか?

✔家族にタイミングを見計らって電話をしてもらい、服薬を促してもらう

家族の協力が得られること。そして促されることで服薬出来る場合にはとても有効な手段だと思います。
朝や昼など家族が不在の場合でも食後のタイミングを見計らって電話をしてもらいます。

僕自身の利用者さんの場合でも薬だけでなく、食事や飲水などを促す手段としても成功している例があります。
ただその例では家族がマメに連絡を入れてくれており、利用者本人も簡単なスケジュール管理が出来ている方でした。

✔「訪問看護」や「訪問介護」、「デイサービス」などを利用している時に服薬する

例えば一人暮らしの認知症高齢者の場合。自分で服薬管理が出来ず、そして家族の協力が特定の曜日しか得られないもしくは全く得られない場合には「訪問看護」や「訪問介護」などサービス利用時に服用してもらう場合があります。

メリット

・サービス利用時に確実に服薬することが出来る

デメリット

・サービス利用時間外の服用は誰が管理するのか?
・見当識が保たれている必要がある(朝・昼・夕の時間感覚がある)

✔医師に服薬の状況を報告・相談し薬を調整を検討してもらう

前述した方法を検討して、それでも服薬管理が困難だった場合には、医師に相談して薬や服薬の回数を調整できないか相談をします。

1日2回の薬が1日1回に減ることで、正しく服薬管理を出来るケースも存在します。

また、1日1回であれば大きなカレンダー(暦)に薬を貼るだけでも成功するケースもあります。

見当識や注意力、記憶力の低下を補う方法

服薬管理には見当識や注意力、記憶力が大切な能力となってきます。

✔見当識低下(日付を間違いやすい人)には

カレンダーを見ても、日付が分からなくなりやすい人に対しては日めくりカレンダーが有効になることもあります。

ただし、カレンダーを見よう・めくろうとする意識や関心が低い場合にはあまり有効ではありません。

その場合には薬の近くに日付入りの時計が有効になる場合があります。

●時間管理より日付の管理が出来ない人は、日付が大きく書かれている時計の方が有効だったケースがあります。

注意力や記憶力の低下がある人には、視覚に働きかける

日常生活では誰しも〇〇をしなくてはいけない時に、何かしらの作業をしていれば忘れてしまった経験があると思います。
「テレビをみる」、「電話をする」、「料理をする」、「病院に行く」、「お客さんがくる」など、何らかの作業や他に気になることがあると、服薬に対して意識が向かないこともあります。

その場合は、行動分析して、視野に入りやすい場所に薬を設置したり、メモを残すことが有効になる場合もあります。

まとめ

・本人による服薬管理が困難な理由には利用者自身の状態と環境による問題があります。
・服薬管理を援助する方法はあるが、利用者の状態と環境による問題によって必要な方法が異なるため、いくつかの方法を組み合わせて提供していく必要があります。
・服薬管理には本人・家族・他職種との協力・連携が必要不可欠。

正しく服用できることは多飲・飲み忘れによる病状の悪化や副作用から身体を守ることと健康の増進に繋がってきます。

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