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注意障害って認知症と違うの?注意障害の種類と対応の提案

※この記事は一般の方向けであり、専門職向けではありません。

注意障害は中々聞きなれない言葉かもしれません。
注意障害とは言わず、元々の性格じゃないの?って感じることもあるかもしれません。

でも普段一緒に過ごしている大事な方が何らかの疾病や事故の後、加齢により

・ぼんやりしたりて、必要なことに気が向かない。
・落ち着きがなく、一つのことに集中できない。
・同時進行で仕事が出来ない。

このような変化がありませんか?
一緒にいるからこそ気付く小さいようで大きな変化。
もしかしたら注意障害の疑いがあるかもしれません。

注意障害って何?

注意とは同時に起こっている情報を選択的に処理する過程のことをいいます。

例えば、賑やかなパーティーにいることを想像してみましょう。あなたが友人と話をしていて、周囲では沢山の会話や音楽が演奏されています。四方八方から音に攻め立てられますが、あなたは多くの雑音や話し声を無視して、相手との会話に集中することが出来ます。反対に会話をしながら他の音に注意を向けたりすることも出来ます。

この注意力が障害されると必要なことに注意を向けることが出来ず、日常生活に様々な問題が生じるようになってしまいます。
注意障害にも様々な症状があるため、以下に説明していきます。

注意障害の分類

注意障害とは高次脳機能障害の一つで「注意散漫で他のことに意識が向きやすく必要なことに刺激が向かず、一つのことに集中出来ない」状態のことを言います。

注意障害は大きく分けて「全般性注意障害」と「方向性注意障害」に分けられています。

全般性注意障害とは

全般性注意とは「持続性」、「選択性」、「転換性」、「分配性」の4つに分けられています。
また、症状は一つに限らず、複数が混ざり合っていることもあります。

分類症状練習の対策例
持続性注意障害 集中力が欠け、音や目に入るものなど他の刺激に注意が向きやすくなります。 静かな部屋で作業するなど集中力を阻害しない環境を整える。
例)子供が勉強しやすいように、ゲームを近くに置かない。など
選択性注意障害複数の刺激に対して、必要な刺激に注意を向けることが困難になります。簡単な作業)紙に書かれた沢山ある数字の中から数字を順番に探していく。
実践的な作業)買い物で必要な物を探す。
転換性注意障害一つのことに注意が向いている際、他の作業に気付きにくくなります。
料理をしていて、電話に気が付かない。あるいは電話の後に料理に戻れない、など。
家族の協力が必要。一つの作業をした後、何か忘れていないか一緒に確認する。あるいは他に注意を向ける必要がない環境を整える。
分配性注意障害注意障害の中でも最も複雑な機能です。2つの作業を同時に行います。電話しながら料理を気に掛ける。1)本を読みながら、特定の文字に〇をつける。
2)本の内容を理解しながら本を読み、読み終わった後に内容を教えてもらう

練習は体力的・精神的な疲労により、注意力が低下するため、疲労度に合わせながら実施します。
練習はあくまで一例にすぎません。担当医、あるいは担当リハビリスタッフに相談しながら、ご家庭でも実施してみると良いと思います。

方向性注意障害とは

脳の損傷により、特定の空間を見落とす・認識できないといった症状がみられます。
代表的なものに、「半側空間無視」といい、見えている反対側の方向に注意が向きにくくなります。促しても気づかない(認識できない)といったことが起こります。

認知症と違うの?

認知症という言葉を想像すると、まだ、「物忘れ」が一般的に想像してしまうかもしれません。
そもそも認知機能とは記憶、思考、理解、計算、学習、言語、判断などの知的能力のことを言います。また、認知症は記憶だけでなく、怒りっぽくなったり、泣きやすくなったりするなど感情が不安定することもあります。また、物事の段取りが悪くなるなど家族でしか気付かないような出来事もあります。

認知症は脳の機能低下がみられますので、注意力が鈍くなるといったことは十分にありえます。高齢ドライバーの自動車事故も注意力や判断力が関係しています。

何かに気付いた際は日常の様子を専門医に早期に相談することが大切になります。

まとめ

注意力は日常生活においてとても大切な能力です。
作業を効率的に行うだけでなく、事故を防ぐのにとても大事な力になります。

身の回りで何か様子が変と感じたら、早めに専門医に相談して、個別にアドバイスもらうことが必要になってくると思います。

参考:
・加藤宏司、他)『神経科学-脳の探求-』
・CLINICAL REHABILITATION 別冊 高次脳機能障害のリハビリテーション

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